【11.コーラル城へ】
【ジェイドside】
に見送られた、ルーク達一行
ガイ「旦那。本当に、を置いていって良かったのか?てっきり、一緒に連れて行くのかと思ったぜ」
あの場所に民間人を置いておくのは、少し難ではないかとガイは思った。
無数の死体と血の匂い。
ジェ「コーラル城へ向かうとなれば、自然と妖獣のアリエッタと鉢合わせるかたちとなります。わざわざ危険な場所に連れて行くこともないでしょう。それに、彼女はいたって普通でしたしね」
ガイは顎に手を当てて、その時のことを思い出す。
ガイ「そういやぁ、そうだったな。でも、なんであの時遅れてきたんだ?」
ジェ「大方、屋根に上るのに時間でもかかったんでしょう。何かと煙は高いところが好きと言いますからね」
ジェイドがに対して、今更ではないが、皮肉の言葉を投げる。
そこへ、皆の後を必死で追いかけるミュウが言う。
ミュ「違いますの!」
ティ「何が違うの?ミュウ」
ティアはミュウを包み込むように持ち上げた。
ミュ「さんは、ミュウのために戻ってきてくれたですの!ミュウが怖がってたことに気づいてくれたですの!」
ミュウは必死にの弁明をする。
ジェ「・・・ふむ。あの状況を前にして、ミュウのことに気づくとは、やはり彼女は民間人とは言い切れませんね」
ガイ「そうだよなぁ。身のこなしが軽いにしたって、あれはちょっとなぁ」
ティ「私も、彼女は民間人だとは思えないところがあるわ」
アニ「う〜ん。そう言われると思い当たる節があるような、ないような」
イオ「僕も彼女は普通の方とは、少し違うと思うんです」
ルー「俺にしてみれば、ティアみたいにいちいちうぜーってぐらいだけどな」
ティアはルークを睨む。
ルークはその視線をそらし、空を眺めた。
ジェ「まぁ、彼女の詮索はそれくらいにして、今は目の前の問題を片付けるとしましょう」
気がつけば、目の前にはコーラル城が聳え立つ。
【コーラル城】
崖の上に建つ廃墟城。
下を覗けば海が見える。
ファブレ公爵の別荘となっているが、今は誰にも使われていない。
城壁には蔦が這い、窓にはところどころひびが入り割れている。
怪しげな雰囲気なのは、その見た目だけではないようである。
ルー「ここが俺の発見された場所・・・」
ガイ「どうだ?なにか思い出さないか?誘拐されたときのこととか」
アニ「ルーク様は、昔のこと何も覚えていないんですよね?」
ルークは首を捻り、昔のことを思い出す。
ルー「うーん・・・・七年前にバチカルの屋敷に帰った辺りからしか記憶がねーんだよな」
ルークが頭をかくなり、アニスがルークの腕に飛びついた。
アニ「ルーク様、お可哀相!私、記憶を取り戻すお手伝いをしますね!」
【チャット形式】バチカルとマルクトの領地、人口
アニ「ルーク様。このお城ってルーク様の別荘なんですよね♪」
ルー「俺の、っつーか、親父のな。・・詳しいことはわかんねーけどよ」
ルークの腕にしがみついたままアニスは質問し、ルークは頭をかいた。
ガイ「確か、あそこを別荘として使っていたのは、ずいぶん前のことらしいぜ」
アニ「それに、それにキムラスカ・ランバルディア王国って、マルクトより領土が広いんですよねぇ♪」
ティ「地図上ではそうね」
ルークは無邪気に笑い出し。
ルー「それもこれも、キムラスカの英雄のおかげなんだぜ」
ガイはジェイドのほうを振り返る。
ガイ「そうなのかい?」
ジェ「えぇ、間違ってはいませんよ。現にマルクトは一師団、キムラスカより少ないですから、人口も」
それは、そのぶん番犬が人を殺めてきたことを意味していた。
ガイもティアもイオンも、目線を下げる。
ルー「すっげーよなぁ♪」
ルークは気づかない。
アニスは慌てて話題を戻す。
アニ「やっやっぱり、公爵家となれば、総資産もすごいんじゃないんですかぁ〜VV」
ガイもそれに気づいたのか、話に乗る。
ガイ「そうだなぁ・・・・ファブレ家の総資産だから、領地の税収、譜業兵器の開発企業の収益、服飾関係・・・まっ、王家に次ぐ資産家であることは間違いないな」
アニ「王家に次ぐ・・ルーク様って素敵VVVvv」
ガイ「それにファブレ家はただの貴族じゃなく、王族だからな。ルークは王位継承権の第三位だし、おそらく未来のキムラスカ・ランバルディア国王ってことになるんじゃないのか?」
アニ「はうわぁ!あのお城だけじゃなくて、王妃まで!?よし、まずは・・・・」
アニスはブツブツと何か言っている。
ルー「アニスって独り言多いよな・・変なヤツ」
アニ「ガガーーン!! うう・・・・いきなり夢の計画に危険信号・・・かも」
ルーク達は、コーラル城へ足を踏み入れた。
ティア曰く、人の手が加えられているという。
ミュウは、魔物の気配を察知し、脅えていた。
【チャット形式】彼女の年齢は27歳
ルー「〜(唸り声のような)」
ガイ「どーしたルーク?まさか怖いなんて言うんじゃないだろうな?」
ルー「なっばかっ、そんなことねーっつーの。ただ、やっぱ置いてきて良かったのかなって・・あれ?」
ルー(あいつ、そーいやぁどっかで・・・・・)
アニ(はうわぁ!ルーク様がのことを気にかけている!?)
アニ「でもでも〜、本人が残るって言ってましたし〜・・・もしかしてルーク様、に気があるんですか〜?」
ルー「はぁ!?っんなわけねーだろ!!誰があんな分けわかんねぇ、五月蝿せー女なんか」
アニ(、ごめん!)
アニ「そうですよね〜♪それに、ルーク様とでは年齢も離れすぎてますし〜♪」
ジェ「おや?アニス、彼女の年齢を知っているんですか?」
アニ「はい〜♪主席総長と同じ27だそうですぅ」
テ・ル・ガ「27!?!」
ティ「兄さんと同じ・・・」
ルー「ありえねぇ」
ガイ「ずっと、同い年ぐらいだと思ってた・・・」
ジェ「それはそれは。まぁ、私も35ですから、別に驚くようなことでもないでしょう」
イオン以外(あんたが一番、おかしい)
全員で城内を見て回ることになった。
二手になってしまっては、妖獣のアリエッタに襲撃を受けたときに戦力にかけるという。
途中、魔物が落とした光の玉をいくつか取得していくが、使い道は不明だった。
建物の屋上まで上った、アリエッタや捕らえられた人の姿はなかった。
ルー「どこにいんだよ。たっく、城のどこかってのまで教えとけっつーの」
ぶつくさとルークは階段を下りていく。
皆もそう思ったのか、反論することはなかった。
【チャット形式】ルークの記憶が?!
ルー「あーっ!思い出した!」
長い階段を下りている最中に、ルークは突然声を上げた。
ガイ「なんだって!?思い出したって、ルーク。誘拐されたときのことか?!それとも全部か?!」
ガイは急いでルークにかけよった。
ルー「あのってやつさぁ。どっっかで見たことあるな〜って思ったらよ、昔屋敷にでた幽霊そっくりだ。髪はもっと・・」
ガイ「誘拐後のことか。そのことなら俺も覚えてるぞ。たしか、夜中に泣き叫びながら俺の部屋に来て、そのあとお前は漏」
ルー「だーーっ!!!それ以上、言・う・なっ!!」
ルークの叫び声が城の中に響き渡った。
ガイ「分かった、分かった。で、他に何か思い出してないのか?」
ルー「いや、さっぱりだ」
ルークはまたグチグチいいながら、階段を下りていった。
ルー「屋敷で見た幽霊とそっくりってよ。なんか気味悪ぃな。あいつほんとに人間かよ」
ジェ「足はついてましたよ」
ルー「そんなん、見りゃ分かるっつーの!」
再び建物の中を調べると、扉のようなものがあった。
中央には紫色に光る玉がある。
魔物が落とした玉をあわせると、扉が静かに開いた。
ルーク達は警戒しつつ、階段を下りていった。
ジェ(まさか・・・これは)
そこには見たこともない巨大な音機関があった。
教会のような巨大な縦長のホール程の広さがある場所に、その音機関は部屋の中央に仰々しくあった。
ルー「なっなんだよ。こりゃ」
ジェイドの様子がおかしい、いつものように笑みをたたえた余裕の表情はなく、忌々しいものを見ているかのようだった。
アニ「大佐、これがなんだか知っているんですかぁ?」
ジェ「・・いえ・・・・確信が持てないと・・・・・・いや、確信できたとしても・・・・・・」
ジェイドは眼鏡の位置を直すと、ルークを見た。
音機関を見たときと同じ、忌々しい物を見るような目で・・・。
ルークはその視線に後ずさった。
ジェ(七年前の誘拐・・・記憶のない状態での発見・・・・・やはり彼は)
ガイ「珍しいな。あんたがうろたえるなんて」
ジェイドはガイに目線を移したが、言葉はなく沈黙のままだった。
ガイ「俺も、気になっていることがあるんだ。もしあんたが気にしていることが、ルークの誘拐に関係あるな」
アニ「キャーー!!」
ガイの言葉を遮断するほどの大きな叫び声が、地下内を轟かせた。
ミュ「ご主人様、鼠がいたですの!怖いですの〜」
ミュウの言葉からアニスも鼠に驚いたのだろう。
アニスは叫んだと同時にガイの背中に張り付いた。
ガイ「っっ!!!うわあぁぁっ!や、やめろっ!!!!」
ばしぃぃっ
どさっ
アニ「な、何・・・?」
ガイに突き飛ばされたアニスは、尻餅をついた。
容赦のない突き飛ばしだった。
ガイは自分がしたことに、はっと気がつき
ガイ「・・・・・・あっ、おっ俺・・・」
申し訳そうな顔をしてアニスに向き直った。
ガイ「その・・すまない。体が勝手に、反応して・・・・悪かったな、アニス。怪我はないか?」
手を差し伸べようにも、できない。
アニ「う、うん」
アニスはそう言うと、自分で立ち上がり、スカートについた埃をはらった。
ジェ「ガイ。あなたの女性嫌いというのは、いったい何が原因なんですか?いまの驚き方は尋常ではありませんよ?」
ガイ「悪い・・・わからねぇんだ、自分でも」
ガイはうつむき加減に首を振った。
ガイ「ガキの頃はこうじゃなかったし・・・ただ、すっぽり抜けている記憶があるから、もしかしたらそれが原因かもしれない」
ルー「お前も記憶障害なのか?」
ガイ「いや、違う・・・と思う。一瞬だけなんだ、抜けてんのは」
ティ「どうして一瞬だけだとわかるの?」
ガイ「わかるさ。抜けてんのは・・・・俺の家族が死んだ時の記憶だからな」
さらりとガイは言うが、それはルークにとって衝撃的なことだった。
人の死というものに身近になってしまったルーク。そして自分も命を奪った経験をした。
表情の固まったルークを見て、ガイは軽く笑みを浮かべジェイドへ向き直る。
ガイ「俺の話はいいとして、それよりもあんたの」
ジェ「あなたが自分の過去について語りたがらないように、私にも語りたくないことはあるんですよ。いろいろと、ね」
ジェ(ありすぎて)
ジェイドは目を閉じ眼鏡の位置を直した。
ジェ「それより、ここには整備士もアリエッタの姿も見えません。先に進みましょう」
ルー「そうだな。とっとといこーぜ」
できることならルークは、ここにいたくなかった。
先に行ったヴァン師匠(せんせい)に、いつ遭遇するか分からなかったからだ。
城へ向かう途中、ヴァン師匠(せんせい)のいいつけを破ってしまったことに気づいたルークは、正直いたたまれなかった。
もし師匠(せんせい)に見つかり、失望され見捨てられてしまったら・・・・そんなことを想像した瞬間、とてつもない恐怖と不安がルークを襲った。
しかし、途中で帰るなどと言えるわけもなく、ここにいる。
強大な機械を過ぎ去り、扉を開けるとそこは外だった。
左側には、城の外から見下ろした海が近くにあり、大きな波をうちつけている。
【チャット形式】女性嫌い克服しよう!・・として人間恐怖症にする気だろ!
アニ「う〜ん」
ジェ「どうしました?アニス。もしかして、とりあえずルークと結婚するためには、女性陣二人が邪魔だということで暗殺計画でも立てているんですか?」
アニ「そんな物騒なこと考えてませんってば!・・・ガイのことですよぅ」
ジェ「あぁ、女性恐怖症ですね」
アニ「はい。あれだけマジびびりされちゃうと、からみずらいってゆーか」
ガイ「マジびびりで悪かったな」
突然ガイが会話に加わり、アニスは驚きの声を上げた。
本人には聞こえないように話していたつもりだったからだ。
ガイ「まっ、いいさ。そんなに気を使うなよ。もしかしたら、からかわれているうちに克服できるかもしれないしな」
そんなはずない。
ルークは断言できた。
今までその女性嫌いを利用して、何度メイド達を使いガイをからかってきたことか。
それならとっくに克服されているはずだ。
ジェ「そうですね」
本心ではないが、そうすることで、場の空気を柔らかくするために言った。
ふとジェイドは思いつき、面白そうに口元に笑みを浮かべた。
ジェ「ガイが大げさな反応を見せたのは背中からでしたね。それだけに気をつけて、あとはいじり倒したらいいんじゃないんですか?」
アニ「了解です!」
アニスはジェイドに敬礼すると、掌を広げガイのほうを向いた。
アニ「アニス、からかいまくります!ぺたぺたぺた」
アニスは掌をガイに押しつけはじめ、触りまくった。
ガイ「うわっ、やっやめ、やめろぉぉぉぉおおおぉぉぉぉぉ」
いつものように変な姿勢になるガイ。
アニ「ぺたぺたぺたぺた」
ジェ「ぺたぺたぺたぺた」
ミュ「ペタペタペタペタ」
アニスが触れ、ジェイドとミュウもどさくさにまぎれて触る。
ガイ「あぁぁっぁあっ、もうっ!!いい加減にしろー!」
ジェ「かぷ」
ガイ「ぎゃあっ!!だあぁぁぁっ!!アンタ、俺を人間恐怖症にする気かっっ!!!」
外の絶壁にある階段を上っていくと、目の前にはアーチ型の扉があった。
それを潜り抜けると、再び城内へとはいった。
目の前には階段がある。
上を見上げると、屋上まで続いているようだった。
ルー「あっ!」
アニ「どうしたんですか?ルーク様」
屋上を見上げた時にライガの姿が見えた。
ルー「ライガだ!!」
ルークとアニスは急いで階段を駆け上った。
イオンの止める声を無視して。
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