【gate22:救出】

side】

(遅い!!)

は腕を組み、砂漠を見据えていた。
ケセドニアに到着してから、三日が経過したが、ルーク達はまだ到着していなかった。

(何かあったのか?)
正解。

(大詠師派の妨害か?)
不明。

(六神将がらみか?)
正解。

は嘆息をつく。
(考えていても、何も分からんのと同じだな。それに、ここで人を待つのは)

は砂漠を見つめ、瞼を落とした。
(・・・)

??「陸軍大将」
振り返ると、そこに立っていたのはアルマンダイン司令官だった。

「・・・司令官」
アル「領事館でお前が滞在していると聞いてな。何かあったのか?」

「それが・・・」



【領事館】
小会議室でとアルマンダイン司令官は席につき、今までのことを報告しあう。
和平承諾のことは、アルマンダインの耳にも入っていた。

それよりも今は、ナタリア殿下が城からいなくなったと通達を受け、ケセドニア周辺に兵の配備を急いでいるとの事だ。
城下も捜索中だが、おそらくアクゼリュスに向かっているだろうと、アルマンダインは言う。

(・・・)
検討がついた。

(一刻も早く、砂漠を渡らなくては)
は、使節団に合流すると言い、領事館を走り出て行った。

階段を駆け上がろうとしたとき。
アル「!」

例え自軍が苦戦中であっても決して取り乱すことのないアルマンダインが、今は息を上げ、あまつさえ職務中である陸軍大将をファーストネームで呼び止めたのである。
その様子には違和感しかなかった。

「司令、官?」
アルマンダインは、自分の行いに気づき、平静を払う。

アル「ナタリア殿下を見つけしだい。・・・・お前も」
「私は、一人でも多くの民を救います」

アル「・・・そうであったな。気を付けて行きなさい」
「はっ」

は敬礼し、一段飛ばしで階段を駆け上がっていった。
アル「・・・・」

アルマンダイは見送る。
苦渋の表情で。







【ルークside】

ルーク達は、砂漠を歩いていた。
イオンの手がかりを得る為、オアシスに向かっている。

突き刺さす日差し。
体から離れた汗が、蒸発する熱砂。

体内と体外からべったりと熱が張り付き、その間にある皮膚だけが少しだけ冷たいと感じる分、余計暑さを際立たせる。
舞い上がる砂で髪は乱れ、視界は不良。気分は最悪。

砂地は、平野の移動よりも倍の力を使い、体力は大幅に削られていった。
ナタリアは、直射日光を避けるため、ジェイドの指示でガイの影を歩いている。

慣れない地形移動を、ルークは気にせず進んでいた。
ルー(確か、あいつは・・・六神将のアッシュとかっていうやつだ)

タルタロスとカイツールの関所で襲われて、イオンの救出邪魔されて、そんで俺と同じ顔って。
ルー(何なんだよ!!あいつ!!)

ルークは両手で、髪をかきむしった。
あの顔を思い出すだけで、無性に苛々するし、気味が悪いと思う。

それに暑い!
かきむしったときに、頭がジャリジャリいった!!

ルー(何で俺が、こんな目にあわなきゃなんねーんだ!!)
ますます苛々する。

ナタ「ルーク!!」
ルー「何だよ!!」

ナタ「そんな、怒鳴らなくてもよろしいでしょう!」
ルー「お前だって、怒鳴ってるだろ!!」

ナタ「それは、貴方が遠くにいるからですわ!もっとゆっくり歩けませんの?単独行動は、(わたくし)が許しませんことよ!」
ルー「俺は、親善大使だぞ!?お前らが俺に合わせろってんだ!」

ナタ「ルーク!!」
ルークは、フンと鼻を鳴らし、速度を緩めなかった。

唯一、ルークの後ろをミュウが頑張ってついていく。
だが何故か、いつもより高く飛び跳ね移動していた。

ティ「・・・っ」
暑さにやられ視界が一瞬ぐらつき、ティアの足元がよろめいた。

ジェ「大丈夫ですか?ティア」
ティ「はい。それよりも早く、イオン様を見つけないと」

ジェ「そうですね。さて、オアシスまで私の陰の上でも歩いてください。多少はマシでしょうから」
ティ「えっ、あの」

アニ「じゃぁ、アニスちゃんは、ルーク様の影の上~」
アニスは、ダッシュでルークの影を陣取った。

それだけ走れれば、問題ない。


【チャット形式】きっと紳士だと信じたい
ガイの影の上をナタリアが、ジェイドの影の上をティアが歩く。

ガイ「なんだかんだ言って、あんたって結構紳士だよな」
ジェ「はい」

ガイ「ははっ、そうやって返事を返されると、やっぱり違うと思いたくなるな・・・」
ジェ「おやっ?素直に受け止めただけなのですが、傷つきますねぇ」

ガイ「まぁ、でも。女性への気遣いとか見てると、そうだなって思うよ。ほら、殿下のときといい、ティアのときといいさ」
ジェ「えぇ、この砂漠で倒れてしまっては、大変ですからね」

ガイ「なっ?そういうところが」
ジェ「私が」

ガイ「へっ?」
ジェイドは、にっこり笑みを見せて、先に進んだ。

【ガイの思考】
ナタリア(ティア)が倒れる→オアシスまで運ぶ。

俺  →女性恐怖症。
女性陣→運べない。

ルーク→運ばない。
消去法→大佐。

ガイ(いや、まさか、そんな、な・・・)




【オアシス】

オアシスを中心に、数本のヤシの木と小さな薄茶色のテントが並び、石造りの食堂が人々の生活の中心にある。
氷山の一角と見間違うほどの譜石が砂漠に突き刺さり、そこから水が湧き出ていた。

ジェイドの話によれば、譜石が落下した衝撃で地下水脈が溢れた。と聞いたそうだ。
オアシスのおかげで涼しさは増したが、刺すような日差しは変わらず、やっぱり暑かった。

六神将やイオンのことを聞いて、まわろうとしたとき。
ルー「いてぇ・・・なんだ・・・!?」

ルークは頭を抱え込んだ。
聞き覚えのある声が、頭の中で響く。

《アッ「俺たちはザオ遺跡だ。・・まっお前じゃ来られないだろうな。グズのぼっちゃん」》
ルー「・・・今、アッシュってやつの声が・・イオンがザオ遺跡にいるって・・・」

意外な形で手がかりを掴んだが、誰もザオ遺跡の場所を知らなかった。
まだ頭痛のするルークと女性陣は食堂で休ませ、残った男性陣が情報収集へ。

食堂で休息をとる人々、オアシスの管理人、ダアトの神官・・・と尋ねていったが、残念なことに全員知らないと首を横にする。
最後にテントへ入ると、行商人がいた。

少し躊躇いながらも「知っている」と口にし、ガイは詳しく聞こうとしたが。
「あんたの奥にいるのは、マルクト兵だろ。知ってても、キムラスカのことは教えらんないな」

ガイ「俺たちどーしても、その遺跡に行きたいんです。お願いします」
必死に頼むガイを余所に、笑みを崩さないジェイドは、ポケットからある物を取り出した。

ジェ「これも見ても、同じことが言えるでしょうか?」
行商人は、驚愕のあまりに目を見開いている。

「それは・・・」
のカフス。

ジェ「さて、貴方は、自国の陸軍大将をも逆らいますか?」









行商人もザオ遺跡の曖昧な方向か知らず、ジェイドたちはそれだけを手掛かりに進む。
少し先に遺跡のようなものが見えて目指していくと、そこにあったのは砂の崖だった。

砂漠の蜃気楼。
崖を遠回りするようにルーク達はさらに東に進むと、やっとザオ遺跡についた。

今度は幻ではないようだ。
オアシスを出てからすでに二日が過ぎていた。

イオンはまだ遺跡にいるだろうか。
ルー(暑っ・・・)

イオンの心配を、砂漠の暑さが上乗せしてくる。


【ザオ遺跡】

二千年前に栄えていた中央都市。

天変地異により住人は全滅し、土地は砂漠化した。
砂に埋もれた建造物は、砂漠と同じ真っ白だった。

風化してしまい白一色なのか、元々白一色なのかは、不明。
ダアトでもキムラスカでも、見たことのない造りをしていた。

唯一、遺跡の中に入れそうな入り口を見つけた。

ジェイドは、躊躇することなく中へ入り、アニス達もそのあとにつづく。
中は、薄暗いが外とは違い暑すぎず、砂も舞い上がらない。

全員、髪や服についた砂を払う。
ジェイドは、最後に眼鏡についていた砂を綺麗に拭き取り、中を見渡す。

ジェ「・・・遺跡の外に艦隊の痕跡がありませんでしたが、おそらくこの先にいると思いますよ」
目線は、遺跡の奥を見る。

奥へとつづく道には薄く砂があり、その上には足跡があった。
ジェ「足先が出口を向いているものがありません。それに、どうやらイオン様以外にも、いらっしゃるようですね」

ルー(あのアッシュってやつだ・・・)
ティ「でも、イオン様のものとは言い切れません。もしかしたら・・・罠かも」

アニ「とにかくー!居ても居なくても、何か手がかりがあるかもしれませんよ。イオン様の身になにかあったら大変です!さぁ、行きましょう!」
アニスは拳をつくった片手をあげて、走っていった。

ナタ「そうですわね。彼がいてこその和平結束ですわ」
ルー「親善大使は俺だぞ?」

皆が先に進む中、ジェイドは槍を出し遺跡の壁へ

ザッ

ガイが振り向いたときには、槍は消えていた。

ガイ「どうした?何か、気になることでもあったか?」
ジェ「いえ、何もありませんよ」

ジェイドとガイは、遺跡の階段を下っていく。

かつては塔の、もしくは城の頂上だったのか、とにかくグルグルと螺旋廊下を下りていく。
なんだか目が回りそうだ。

遺跡の隙間から一筋の光が降り注ぐ。
時折、砂がサラサラと砂時計のように落ちていた。


【チャット形式】頭上注意

ルー「ぼへっ。うえっ、ぺっぺっ。なっ何だよ。砂が上から降ってきたぜ」
ガイ「気を付けろ、ルーク。ここは地上とは違うんだ」

ナタ「貴方の行動が、(わたくし)達にまで影響しますのよ。注意してくださいまし!」
ルー「分ってるよ!たくっ、ガミガミ魔が増えたよな・・・」

ジェ「ところで、そろそろ移動しないと、また砂をかぶりますよ。まぁ、かぶりたいと言うのでしたら、貴方一人でお願いします」
ルー「んなわけねーだろっ!」


遺跡を詮索していると、斜方形をした金色の石が宙に浮いていた。
ルー「何だ、こりゃ?」

ルークはそれに気が付き、近づく。
ティ「ルーク!迂闊に近づいては危険よ」

掌サイズぐらいの石が、強弱をつけて優しく光り、害が及ぶ様な気配はなかった。
ミュ「音素(フォニム)ですの!第二音素(セカンドフォニム)ですの!」

ミュウが嬉しそうに譜石の真下へ移動し、音素浴をしている。
ガイ「で、ミュウは何をしてるんだ?」

ミュ「ソーサラーリングに音素(フォニム)を染み込ませてるのですの!そうなるとリングに音素(フォニム)の力が宿ると族長が言ってたですの」
ルー(どーせ大したことねーだろ。今もチッセー火の玉でるぐらいだし、今度は水鉄砲か?)

ルークがつまらさそうに様子を見ていると、金色の石は消え、ミュウの大きな目がカッと開いた。
全員、なんとなく後ろへ一歩下がる。

ミュウは近くの大岩に向かって、回転しながら体当たりをすると、大岩は砕け散った。
ミュ「すごいですの!何でも壊せそうですの♪」

いつものように元気に飛び回っている。どうやら怪我はないようだ。
ジェイドがソーサラーリングを調べると、新たな譜が刻み込まれていることが分かった。

遺跡の残骸で塞がれた道を、ミュウの体当たりで破壊し、先を進む。
六神将やイオンが先にいるなら、残骸を置いていったのは六神将の仕業だろうか、それとも元々あったものなのか。

どちらにせよ、先に進むしかない。




ついにイオンを見つけた。おまけに六神将もいる。

しかも三人もいた。
≪烈風のシンク≫≪黒獅子ラルゴ≫≪鮮血のアッシュ≫

ルークは帰りたくなった。
そもそも、イオンは必要なのか?そう思いさえした。

岩や瓦礫でボロボロの都市には似つかわしくない鮮やかな色彩のステンドグラス造りの扉の前で、イオンはアッシュに行く手を阻まれた。
ルークは鞘から剣を引き抜いた。

勢いで剣をとってしまったが、出来ることなら人と戦いたくない。
ルー(数はこっちのほうが多いんだし、むこうだってヤベーって)

ラル「面白い。陸艦でのへっぴり腰が、どう成長したか見てみよう」
ルークの淡い期待は、ラルゴに弾き飛ばされた。

ラルゴがゆっくり歩み寄り、シンクが気だるそうにあとにつく。
シン「そう言って、また大怪我しないでよね。戦力が減ると、こっちに迷惑がかかるんだ」

ラル「あぁ、分かっているさ」
シン「フン、こっからアンタを運ぶなんて、ごめんだからね」

アニスがトクナガを巨大化させて「イオン様を返して!」と叫び、突進。
ジェイドは譜を唱え、ガイは鞘から刀を抜き素早く前へ出る。

ナタリアは矢を構え、ティアは短剣をシンクへと飛ばした。
シンクは高らかと飛び、そのまま隙だらけのルークへ、突き刺すように落下してきた。

ルー「!」
ガイ「ルーク!!」

ガイは地面を蹴り飛ばし、ルークを押して、シンクを跳ね飛ばす。
地面に転げ落ちたルークは起き上がり、遅れながらも参戦した。

アニスの巨大な人形とラルゴの鎌が攻防している間に、ナタリアが矢を、ジェイドが譜術を放つ。
それをラルゴは、大鎌を器用に振り回して弾き返しながら、アニスへの攻撃も怠ない、だが一瞬の隙をアニスも見逃さなかった。

アニ「流影打!!」
ラル「ぐっ」

ラルゴは一歩下がり、体勢が崩れた。
シン「ほらっ」

シンクは、砂が盛られているところを大きく蹴り上げ、ガイとルークの視界を奪った。
ガイ「っ」

ルー「ちっ」
ガイは目を拵え、ルークはこする。

二人の前にシンクの姿はなく・・・。
ジェ(!)

ジェイドの目の前に現れた。
シン「あんたには、ケセドニアでの借りがある」

アニ「大佐!!」
アニスはトクナガを走らせる。

ジェ「来てはいけません」
シン「遅いよ。昂龍礫破!!」

シンクの攻撃とほぼ同時、ジェイドは詠唱を中断、後ろへ飛んだ。
直撃は免れたが、一部手袋は焼け焦げ、手の甲に少し火傷をおってしまった。

白い肌は焼け爛れ、集中力を奪う痛みがジェイドにつく。
ジェ(・・・)

ラル「敵に背を向けるとは、笑止!!」
ラルゴの大鎌が、アニスを薙ぎ払った。

アニ「きゃっ!!」
アニスはトクナガから転げ落ち、再びラルゴの鎌が振り下ろされる

ガッ

前に、ガイが懐に入りとめた。
ガイ「ルーク、いけるか」

ルー「あぁ!行くぜ」
ラル「何!?」

ラルゴの背後に、ルークがいた。
ガイ・ルー「「喰らえ!!」」

ルー「双牙斬!」
ガイ「弧月閃!」

ラル「ガッ!」
二人は、ラルゴを挟み込み個々の技を出した。

ルー「ちっ」
肉を断つ感触。

やっぱり魔物とは違う。
肺の上あたりから吐き気がして、無理矢理咽元で止めた。

シン「くっ」
ラルゴの鎌が、攻撃から態勢を整えるものになったとき、シンクの失態の声。

わき腹を押さえて、立っていた。
技を出した後、ティアの短剣がシンクを襲い、それを難無くかわした瞬間、ジェイドが譜を発動。

かわした方向にナタリアの矢が飛んでいたが、譜術が隠れ蓑の役割を果たし、わき腹を奪われてしまった。
アッ「何やってんだ!屑ども!!」

イオンの傍にいたアッシュが、ルークに斬りかかってきた。
ルー「なっ」

他の者には目もくれず、初めからルークを狙う剣筋だった。
アッ(!)

ルー(?)
不思議なことに、二人はまるで鏡に向かって剣の稽古をしているようだった。

全く同じタイミングと方向、同じ功戦と功戦は、防戦。
拉致があかない。

二人はそう思った。

アッ「ちっ、さっさと終わりにするか」
ルー「こっちの台詞だ!!」

アッ・ルー「「双牙斬!!」」
二人は反対方向に飛ばされた。

ルークは無様に尻餅をつき、アッシュは立っていた。
ルークは、ぽかんと口を開けたまま、アッシュを見た。

同じ顔っていうだけで、気持ち悪りーってのに・・・。
どうして・・・使う技まで、同じなんだ?

この技は、たった一人だけ受け継ぐことのできる師匠(せんせい)の・・・。

ルー「なっなんで・・・・お前がその技」
アッ「アホ面してんじゃねーボケが!!同じ流派だからだろうが!!俺とお前は」

シン「アッシュ!!」
シンクは飛躍し、アッシュの目の前へ。

二人は険悪なムードで何か話している。
決着がついたのか、シンクが取引を持ち出してきた。

イオンを返す代わりに、この場から立ち去れとのことだ。
応じなければ、自分たち諸共生き埋めにする、と脅してきた。

ジェイドとティアは、彼らならやりかねないと、戦闘態勢を取り続ける皆を宥め、取引に応じた。
イオン救出に成功したが喜びよりも不満が残り、試合に勝って勝負に負けた、そんな気がした。

ルーク達がイオンを連れて、姿が遠のいていくとき。



ラル「・・・ナタリア」
視線は、波打つ金髪の少女を追う。

アッ「おい、お前、ナタリアと何か関係があるのか?」
ラル「・・・・」

アッ「おい!!シカトしてんじゃねーぞ」
ラルゴの前に来てアッシュが吠えるように問いかけるが、ラルゴは目を瞑り、だんまり口のままだった。

シンクがアッシュとラルゴの間に入る。
シン「六神将は互いの過去を知る必要ないはずだよ。それは、あんたが一番良く分かってるんじゃない?燃えカスさん」

アッ「・・・ちっ」





【ザオ遺跡:出入り口】

六神将が後ろから追って来ないかと警戒しながら、遺跡の出入り口へと向かった。
なんとかラルゴとシンクに怪我をおわせたものの、ルーク達も無傷ではなかった。

オアシスからイオン奪還までの間、薬や旅支度に必要なものは、予想以上に使ってしまった。
手元にあるのは、僅かな水と食料。

全員、この状況で無事にケセドニアまで辿り着けるのか、不安が滞在する。
これから先の計画や対策をしていきたいが、憔悴しきった体と思考からやれることは、ここを出ることだった。

最後の階段を上りきったとき。

アニ「あーーーーっ!!」
先頭を歩いていたアニスが、大きく声を挙げて、遺跡の外へ出て行った。

歓喜を帯びた声に、ルークも警戒せず、ひょいとザオ遺跡から顔を出した。
ルー「んだよ。今度は、げっ」

そこにいたのは・・・。

「すまない。予定よりだいぶ遅かったので、来てしまった」
だった。







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