【6.憧れの存在】
【ジェイドside】
ジェイドは黒獅子のラルゴに封印術(アンチフォンスロット)をかけられてしまい、譜術が一切使えなくなってしまった。
ラルゴにより、ジェイド・カーティスの二つの名【死霊使い(ネクロマンサー)】が明かされた。
【死霊使い:ネクロマンサー】
戦場から兵士の死体を漁り、持ち帰り複製していたことから、呼ばれるようになった。
そのせいでマルクト第三師団は死人の軍と噂されるようになるが、その真意は不明。
ピオニー九世からの信頼も厚く《皇帝の懐刀》とも呼ばれている。
彼の二つ名は、世界を轟かせるほど有名だった。
その後、ジェイドに一撃入れられたラルゴは一旦退却、タルタロス奪還に成功した。
と思われたが、ルークが初めて人を殺め、腰を抜かしてしまった隙に、三人とも捕まってしまった。
しかし、ジェイドの機転によりタルタロスを犠牲にして脱出に成功。
140人ものマルクト兵は、最初の襲撃で亡くなった。
【魔弾のリグレット】【妖獣のアリエッタ】に遭遇し、再び危機に直面となるも、ガイの登場により、イオン奪還に成功を遂げた。
セントビナーに向かう途中だったが、日も暮れてきたので、野宿をすることになった。
ガイは自己紹介をするが、ティアを前にして女性恐怖症だということが判明した。
アニスの安否を話している最中に、オラクル兵の敵襲。
ティアはルークを庇い、敵に傷をつけられ倒れてしまった。
幸い命に関わるような傷ではなく、現在安静中。
譜術から発する光と焚き火を囲み、男性人は座っていた。
ジェイドは封印術(アンチフォンスロット)をかけられたが、現在、解除中とのことだ。
ルー「あんたは、どうして軍人になったんだ?人と・・戦っていくような仕事、なのに」
ジェ「人を殺すのが怖いですか?まぁ、あなたの反応は当然だと思いますよ。軍人なんて仕事、なるべくならないほうがいいでしょうね」
ジェイドは一回りしてくるといい、席を立った。
ガイ「今日は散々だったな」
ルー「なぁ、ガイ。お前も、人切ってたんだろ?怖く、ないのか?」
ガイ「怖いさ、死にたくねぇからな。それに俺には、まだやることがある」
ルー「やること・・・?」
ガイ「復讐」
ルー「へっ?」
ガイ「なんて、な」
冗談めかしく終わらせたが暗いせいだろうか、ガイの顔つきが、一瞬変わったように見えた。
イオ「ルーク。ジェイドの話は極端なものです。彼らは戦うのが仕事です。ですがあなたは民間人ですから、戸惑ったり悩むのも仕方ありません」
ルー「イオンは、その、自分の部下が人を切ったりするのは、嫌じゃないのか?」
イオ「それは・・・。今のローレライ教団は、人を生かすためではなくなってきてます」
ガイ「それにルーク、お前が憧れて尊敬している人も軍人なんだぞ?」
ルー「いや、それは知ってたけど、なんか目の辺りにしたらさ・・・・」
ルークは、ふいと目を横に逸らす。
ガイ「尊敬できなくなった?」
ルー「まさか!そんなわけないだろう!!そりゃあ、ヴァン師匠(せんせい)の次だけど、今でも尊敬してるよ」
ルークの顔は、心なしか赤みを帯びる。
闇の中からジェイドが現れた。
ジェ「この辺一体はどうやら大丈夫のようですね。おや〜、ルークに尊敬されるような方とはどんな賢人でしょうね〜」
にっこりと笑みを浮かべるが、どうもこの軍人は、からかっている要素がある。
ルー「へっ、誰が教えるかよ。だいたいお前に教えると、減りそうだ」
ジェ「ほほぉ、なるほど。誰かに教えると減ってしまう、その程度の人ですか」
ルー「おっお前な〜」
イオ「僕も、ルークが尊敬している人が、どのような方か知りたいです」
ルー「・・・分かったよ。イオンに教えるんだからな」
ガイ「おいおい」
ルー「まっ別に誰でも知ってるだろうけどよ。《キムラスカの英雄》だよ」
ルークは無邪気に笑いながら言う。
ジェ「キムラスカの英雄、ですか」
ジェイドはメガネに手をかける。
ガイ「それじゃー誰だか分からないだろ?ルーク、英雄と呼ばれる人は何人かいるんだぞ」
ルー「へっ?そうなのかよ。でも俺名前知らねぇーし。あっそうだ《ケルベロス》とも呼ばれてるんだったよな。カッコイイだろ!」
ジェイドはそっと目を細め、イオンは静かに目を伏せた。
ルー「?どうしたんだよ」
イオ「少し、驚いただけです」
ジェ「まさか、貴方からその名がでるとは、私も驚きです。・・さて、夜も遅いですし、そろそろ寝ましょうか」
ぞろぞろと闇へと消えていくなか、ジェイドはガイを呼び止めた。
ジェ「ガイ、彼にはどのように教えたのですか?」
誰と言わずとも分かるであろう、先ほどの会話に出ていた例の人物。
ガイ「俺が教えたわけじゃないんだ、どうやら主席総長から聞いたらしくてな。たぶんだが、若くして陸軍大将にまでなったとか、向かとかうところ敵なしとか。まぁ、そんなふうに言われたんじゃないかなと思うよ」
ジェ「そうですか。それなら尊敬というふうに見られますかね」
ガイ「マルクトにとっては、耳の痛い話だろうな」
ジェ「えぇ、まったくです。呼び止めてしまって、すみませんでした」
ガイ「いや、気にしないでくれ。じゃあ、また明日」
ジェ「ええ」
譜石の光を弱め、ジェイドは再び丘の上から闇を見渡した。
ジェ(彼女は・・・・)
【キムラスカの番犬:ケルベロス】
身体能力の高さから幼くして軍人となり、ホド戦争時代からその身を戦場に置く。
とある戦争では、一人だけ生き残るほど戦力の高さは底を知れない。
武器は、大鎌。
殲滅を遂げると真っ赤に染まる鎌は牙のようで、任務を忠実にこなすことから【番犬】の二つ名がつく。
マルクト捕虜時、片腕を失い捕虜交換でキムラスカへ戻る。
再び戦場に現れた番犬の腕はあったということから、一部のマルクト兵からはバケモノとも呼ばれている。
先帝時代終了後、表舞台から消え、噂では病に伏せているらしい。
【番犬】と名を轟かせるものの、それ以外の情報を知るものはマルクトにはいない、とされている。
ジェ(・・・・・)
【side】
セントビナーに到着してから一日ほど待ったが、ジェイド達はこなかった。
朝方アニスとはセントビナーを出発、次に向かう場所はカイツールの関所だという。
【チャット形式】フーブラス川
は、川の目の前でピタリと足を止めた。
アニ「あれ?、どうしたの」
「・・・ちょっと水位を確かめただけです」
アニ「あっ、な〜んだ。てっきり濡れるのが嫌なのかと思いましたよぉ」
「まさか。仮に足を滑らした時に流されてしまっては、と思っただけです。さぁ、行きましょう」
(泳げぬなどと言えぬしな)
もうすぐ関所だと言う時に、アニスは気づいた。
はもう縄で縛られていない。
それにあの大佐が身軽だと言ったくらいだ。
いつでも逃げられたはずなのに、何故逃げ出さなかったのだろう。
「アニス、どうした?のですか?」
アニ「その〜、なんで逃げなかったのかな〜。なんて」
は少し大きく目を開き、細めた。
「そう、でしたね。逃げようと思えば逃げられましたが、こんなバイラスだらけの中、一人の女性を置いて逃げるような意志は持ち合わせていないもので」
右手をあげ肩をすくめると、目を空へと仰ぐ。
【チャット形式】彼女が童顔?それとも総長が・・・
アニ「って一体いくつ?」
「27です」
アニ「えーーーーー!!主席総長と同じ?!うっそ、ありえない!!」
「?もっと老けて見えましたか」
アニ「違う違う、ぜっっんぜん違う、むしろ逆。童ー顔」
「・・・そんな風に言われたのは初めてです」
アニ「マジ?!」
「ところで、私が童顔ではなく、その主席総長という方が老けて見えるという可能性はない、でしょうか?」
アニ「あっ、それもそうかも・・・」
【チャット形式】分析2
アニス戦闘終了後。
(人形師とは今時めずらしい。接近、中距離に長け譜術も少し使えると見える。技と技の間に隙があり、無駄な動きが多いがまだこの年齢。将来有望とみた。それに)
アニ「ー。終わったよ〜」
「お手伝いできなくて、すみません」
アニ「気にしないでくださいー。は民間人なんだからぁ」
「・・戦い方がとてもかわいいですね」
アニ「はうわぁ!アニスちゃん、今トキメイチャッいましたぉ」
アニ「そういえば、。左腕、あの時から動かしてないね」
はアニスに親書を渡した後、まったく左腕を動かしていないことに気づいた。
「あぁ、落下した時に左腕を強く打ってしまったせいか、動かせなくなってしまった、のです」
アニ「!!?ちょっとーーっっ、腕が折れてるなら早く言ってよ。全然気付かなかったじゃん!!アニスちゃん、ヒーラーでもないからすぐに治せないし、薬も用意してないし」
(折れているというよりは、動かないのというほうが正しいのだが)
関所はもう目と鼻の先。
アニ「、関所についたらすぐに宿屋で手当てしてよ、私は交渉するから」
「交渉?なんの、ですか?」
アニ「いいからいいから、ここはアニスちゃんにまかせて、は手当てしてなさい!!」
「分かりました」
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