【7.合流】
【ジェイドside】
セントビナーの出入り口で、六神将に邪魔をされたがエンゲーブの人々の助力により入ることができた、ジェイド達。
しかしアニスと合流することはなく、一通の手紙が残されていた。
内容の半分はルークへの恋文、もう半分は親書が無事であり、あの民間人も一緒ということだった。
ポイントβ、カイツールへ移動。
フーブラス川を渡り終えると、妖獣アリエッタに遭遇した。
イオ「アリエッタ、彼らは悪い人達ではありません」
アリ「ううん。悪い人達です。・・・だって、だってアリエッタのママを、殺したんだもん」
ルー「はっ?お前、何言ってんだよ」
アリ「アリエッタのママは、お家を燃やされてチーグルの森に住み着いた。ママは子供達・・・妹や弟を守ろうとしただけなのに」
ティ「まさか!でも彼女は、人間」
イオ「彼女はホド戦争で両親を失い、ライガクイーンに育てられたことから、魔物と会話することが出来るのを買われ、オラクル騎士団に入隊したと聞きました」
アリ「他にもいるはず、黒髪の女の人はどこ?・・・・あの人がママをそそのかしたりしたから・・・ママは、ママは」
ティ「あのライガクイーンが・・・」
アリ「それがアリエッタのママ!!アリエッタはその人達を許さない!どこまでも追いかけて・・・殺します」
ルーク達は身構えた。
アリエッタのライガによる先行攻撃を受けたが、突然の地割れ。
障気がアリエッタとルーク達を襲う。
ルーク達はティアの譜歌により、一時障気を抑えられ逃れたが、アリエッタは、直接浴び倒れてしまった。
アリエッタを置いて、その場を後にしようとしたが、ジェイドが槍を持ったまま、アリエッタに近づく。
ルー「やっやめろ!なんでそいつを殺そうとするんだ」
血のような目がルークを射抜く。
ジェ「先程の話を聞いていなかったのですか?妖獣のアリエッタにとって、我々は親の敵以外の何者でもありません。生かしておけばまた命を狙われます」
ルー「だっだからって、何も殺すことないだろう」
ティ「・・・本当に甘いのね」
ルー「るっせぇ、この冷徹女」
結局、イオンの申し出により、妖獣アリエッタは、その場に置いておくことになった。
【チャット形式】そそのかした女性とは?
ガイ「ところでそそのかした女性っていうのは、例のアニスって子かい?」
ジェ「いいえ〜、おそらく途中でこの騒動に巻き込まれてしまった。哀れなキムラスカの民間人でしょうねぇ」
ガイ「その人も難儀なことになったなぁって、キムラスカの人間がマルクト領をウロウロしてるなんて、まるでルーク並みに世間に疎いんだな」
ルー「俺は、関係ないだろ!」
ジェイドは眼鏡の位置を直す。
ジェ「えぇ、まったくです」
ルー「っておい、無視するな!」
【side】
は宿屋に入ると、マルクト兵から御代はお預かりしているとのことだったので、一番奥のベットへ腰掛けた。
右手でそっと左腕の間接より少し上をさする。
(付け根に痛みがないということは、私でも直せる程度の損傷だろうか)
は左腕まで伸びる長い手袋をはずし、再び左腕に手をかけた。
パキッ
ガシャン
強く左腕を引くと、掴んだところから腕が取れた。
それは音機関でつくられた義手。
コレをつけているのは、ぐらいであろう。
ある人に造らせたものだ。
生身の腕と義手を繋ぐのは、数本の大中小のコード。
(神経は、はずしておかなくてはな)
義手の根本に手かけ、コードの周りにある小さなスイッチを上げ下げすると、コードと義手が離れた。
義手の表面に、人の皮膚のように覆ってある樹脂を外すと、義手の全貌があらわれた。
案の定、表面から内部にかけて亀裂がはしっていた。
(これは、内部までいっているか。もしかしたら私ではダメかもしれないな)
とりあえず、全体がどのような状況かを把握する為に、間接部分を展開していった。
細い針を隙間に入れて、つなぎ目にある箇所をいじっていくと、分解されていく。
はっきり言って正しいやり方、とはいえない。
(・・・ばれたらまた怒られるな)
の脳裏に、いつも奇抜な椅子に腰をかけた眼鏡の人がでてきた。
バタン
誰かが宿屋へ入ってきたが、どうやらとは関係ない人のようだ。
近くの椅子に座ってしまった。
しばらくすると、再びドアが開いた。
アニ「あっ!主席総長、お話しをする前にちょ〜と、お時間いいですかぁ?」
ヴァ「あぁ、かまわん」
アニ「ありがとうございます。、聞いて聞いて、関所が通れるようになったよ」
は振り返ると、アニスだけではなくルーク、ティア、ジェイド、イオンともう一人知らない金髪の青年がいた。
主席総長と呼ばれた人は丁度、壁で隠れてしまって見えない位置にいる。
「あぁ、先程のはそういう意味だったのですね。それに、合流できたようで」
アニ「うん。ダメかーと思ったら主席総長と皆と丁度落ち合って、旅券まで用意してくれて、出発出来る事になったんだよ」
「そうですか」
アニ「ところで、左腕は・・・うっ腕、腕!?えーー!!?」
アニスはに近づき、左腕を覗きこむと、腕がなかった。
左肩の部分からコードのようなものが出てたり、腕らしきものがの太腿の上にのっていたり、見たこともない部品が、布袋の中に入っている事に気がついた。
「あぁ、驚かせてしまった、ね。すみません」
ジェ「おや、これは音機関で造られた義手ではありませんか。話には聞いていましたが・・実物を見るのは初めてです」
アニ「えぇ!?大佐知ってるんですか〜」
ジェ「えぇ、噂で聞いただけですから詳しい構造などは分かりませんが、いや〜興味がありますね〜」
ジェイドはしげしげと、分解されている義手に目をやる。
ルークが横から顔を出す。
ルー「おいっさっきからって、気持ち悪ぃー!!何だよ、それっ」
ティ「ルーク、失礼よ!」
ルー「だっ、だってよ」
(まぁ、普通はそう思うだろう)
「謝る必要はありません。私も私と同じような人間は見たことがない、です。・・さて、私は宿の外にいます」
アニ「えっ何で?」
「ベッドが足りないです、それに」
チラとは、気味悪がる視線を横目で感じつつ、アニスに目線を戻す。
外れた左腕を小脇に抱え、部品が入った袋を右手に持つ。
「気持ち悪い人間と同じ部屋にいるのは嫌でしょうから、ではまた明日」
は、主席総長と呼ばれた者へ、目線だけ投げた。
向こうも丁度を見たせいで、目が合ってしまった。
バタン
(まずい、あの者にこれ以上会うと、バレる可能性が高い)
ヴァ(あれは・・・)
ルー「ヴァン師匠(せんせい)ー」
ティ「貴方、さんに言うことがあったでしょう」
ルー「はっ、何を?」
ヴァ「ルーク、先程の女性を知っているのか」
ルー「いいえ、キムラスカ人ってぐらいしか。師匠(せんせい)、知ってるんですか?」
ヴァ「いや、少し気になっただけだ。では、話を聞こうか」
ジェイドが眼鏡を押し当てると、足元に一本のネジが、こつりと当った。
は宿屋の裏手に移動し、義手の分解を引き続き行う。
動く状態に戻せないと判明し、修復作業に入っている最中のこと。
「・・・・上から人を眺める趣味がおありのようで」
ガイ「あれっ?気付いちまったか」
ガイは、よっと声をあげると、宿屋の屋根から顔を出し、と離れた位置へ飛び降りた。
「身軽、なんですね。何か」
ガイ「いやっあんたとは自己紹介してなかったな〜っていうのと・・その、義手が・・・・」
ガイは、目を爛々とさせ義手を見る。
恐れているというより、興味深々という感じだ。
「そう言えばそうでした。私はと言います。タダの民間人です」
右手をガイに差し出すと、ガイはものすごい勢いと格好で後ずさった。
ガイ「いや、すまない。がどうってことじゃなくて、俺、女性恐怖症なんだ」
「・・・・・」
はおもむろに右手で義手を持ち、ガイの前に差し出した。
ガイは目をキラキラさせ、義手に飛びつく。
「よろしく」
ガイ「おっと、こいつは一本とられたような。よろしく、ガイだ。さんづけはなしでいいぜ。ルークの使用人をしている」
(使用人?まさか)
ガシャリと義手は音を立てた。
「ふっ、くくっ」
(まるで同じだ。あの時も、たしか箒と剣で挨拶をしたな)
は突然、下をふき、軽く笑った。
ガイはギョッとして、握った腕を放す。
はまだ下を向きつつ、宿屋の壁に背を預けた。
(驚かせてしまったな。相応のことでも言わなければ)
「すみません。まさか普通に握手を返すとは、思ってもみなかったもので」
ガイはと少し離れた位置で、宿屋の壁に体を預けた。
ガイ「おいおい、仕掛けたのはそっちだろ。・・・あとな、ルークのことなんだが、誤解しないでくれ、七年前に誘拐されてから記憶喪失になって、周りから過保護に育った結果、まぁ、俺の責任でもあるけど、あんな風に育っちまったんだ」
「世間知らずの御貴族様ということは、少しばかり一緒だったときに分かりました」
ガイ「はは、間違ってないな。あと、しばらくしたらでいいから宿屋に戻ってきてくれよ。その間、ルークには説明しとくからさ、じゃっ」
ガイは、片手を上げ颯爽と去っていった。
「(困ったな。戻るつもりは・・・・その前に)
「マルクトの軍人は、立ち聞きが趣味なようだ」
ジェ「いえ、お邪魔をしてしまってはいけないと思いまして、空気を読んだだけですよ」
ガイが去ったほうとは逆側からジェイドが現れた。
は義手を取り修復作業に入る。
「何か用ですか?まさか自己紹介というわけではない、ですよね」
ジェ「してほしいですか」
「いえ、全く」
ジェ「ショックですねぇ」
まるでそう思っていない口調で話す。
何の用だとは思いつつ、修復作業をしていると、ネジが一本足りないことに気がついた。
(宿屋に落としてきたか)
顔をあげると、目の前にネジが差し出される。
ジェ「落し物ですよ」
「なるほど、すみま・・なんですか」
がネジを取ろうとすると、ひょいと上にネジを持ち上げられる。
ジェイドはネジを指先で遊び
ジェ「私も興味があります、その義手に。どうでしょう。私にも見せていただけませんか」
「直すのですか」
ジェ「いーえー。ただ仕組みに興味があるので、少し分解でもしようかと」
「・・・元に戻すのは私、ということですか」
ジェ「まさか、先ほど作業を見ましたので覚えました。修復まできちんと責任もちます、いかがですか?」
「それを返してもらえない分には、そうなりますね」
ジェ「はい、物分りのいい子は好きですよ♪」
少なからずはそのジェイドの言葉に、一瞬固まった。
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