【そして二日酔い】
昨日は夜から宴を行った。
そんなわけで、全員が全員、二日酔いに陥った。
政宗「あぁぁ、Headが割れる、痛ぇ・・・・」
政宗も二日酔い軍の一人だった。
「お水と薬をお持ち致しました」
は持ってきた盆を置き、立ちあがる。
政宗「あっ?なんだよ・・・ここに、いんじゃねーのか?」
「申し訳ございません。二日酔いになっている方々が他にも大勢いらっしゃいますゆえ、片倉様、お一人に任せておくわけには・・・・全て終了いたしましたら、またここに」
音を立てずに障子が閉まる。
政宗「・・・・・あ"ぁ"ぁ"、痛ぇ」
5分後。
政宗「はえぇ、帰りだな」
「・・・追い返されました」
大勢(二日酔い軍)「「「「「「筆頭のとこに行ってくだせぇ!!!!!姉御!!!」」」」
と、全員に言われた。
姉御はやめろ、姉御は。
そのあと、自分たちの大声に頭を抱える家臣たち。
うおぉぉおおおっと、地獄絵図のようなうめき声をあげている。
「・・・・姉御は、やめてくださいね」
ポソリと言ったが、おそらく聞こえていやしない。
小十「ここは俺にまかせとけ。何、いつものことだ。・・それより、政宗様のことを頼む、おそらく・・・・」
盆に置いてあった、水はなくなっているが・・・・。
「薬を・・・・」
片倉様の言っていたことが本当だった。
(小十「薬を飲んでいらっしゃらねぇはずだ」)
水を持ってきて良かった。
政宗「飲んでも、飲まなくても、ほっときゃ、直るに変わりねぇ」
頭を押さえ、眉間にしわをぎりぎりと寄せる政宗。
政宗「おめぇは、なんで二日酔いになってねぇんだ・・・飲んだはず、だろ?」
「・・・伊達様が、私のぶんもお飲みになりました」
宴に連れて行かれたが、実際に自分の注がれた酒は全て伊達様が飲んだ。
気を使って頂いたのか、単に勢いで飲んだだけなのか、真意は不明。
政宗「・・・・そう、だったけか?」
覚えていない。
そう、自分をいきなり抱きかかえて寝てしまわれたことも覚えていない。
片倉様から聞いたが、別に特別なことでもなく、宴や宴会の後はたいがい近くの者が餌食になるそうだ。
まぁ、殿方に囲まれて長きに渡り生活をなされていたから、私もその一部とみなされている。
故に、女子(おなご)扱いされていない。
いや、それでいい。
下手に女子(おなご)扱いされるより、ずっといい。
忍は道具だ。
政宗「二日酔い消せる、術とかねぇのか?」
「ないです」
前々から思っていたが、忍者という認識について誤解があり過ぎる。
目や口から、火とかだせるのか?とか、動物に化けられるのか?とか
つい最近は・・。
(政宗「そこの壁、通り抜けられんだろ?」)
幽霊かっつーの。
政宗「それ、さげといてくれ」
政宗は、ちらと薬を見ていう。
「お飲みになってください」
政宗「No」
「・・・・・分かりました」
は、すっと政宗に近寄り、そっと政宗の額に手をおく。
「では・・・」
政宗に些かの予想が走る。
口うつしする気か!?
いや!!薬だけは勘弁だ!!!
歯を食いしばれば回避できるぜ!!
は、困ったように。
「少しばかり腹かっさばいて、直接、胃に入れられるのと、ご自分から胃に入れるの、どちらがよろしいですか?」
ごっくん。
政宗は薬を飲んだ。
薬を飲んだとたん、眠気が襲う。
「薬に、少し眠り粉を入れておきました・・・次に目覚めたときは頭痛も二日酔いもなくなっています」
政宗「・・・やられた・・な。まぁ、いいけどよ・・・」
うつらうつらとなる政宗。
「私は道具ですが、遠慮ばかりでは、お守りできるものもできなくなります・・・・申し訳ございません」
政宗「道具じゃ・・・ねぇ。おめぇは・・・奥州の忍・・人間だ」
「・・・ありがとうございます」
政宗「なっ・・・・手ぇ、そのまま、置いとい・・てくれよ」
の手は政宗の額にあり、政宗がそのの手の上に自分の手をのせる。
政宗「・・・冷てぇけど・・・・それが・・・い、い・・・・・」
「分かりました」
政宗「足・・・崩しと、け」
政宗「・・・・・」
政宗は眠りについた。
(隠し通せていたと思っていたんですが)
は、足に傷を追っていた。
里で傷つけられたものだ。
上手く隠していたが、伊達様にはバレバレだったらしい。
宴のときに、小脇に抱えられたのも、膝にお乗せになったのも、酔われていたからだと
思っていたが・・・・
は正座の状態から、足を崩す。
(はぁ、隠し事がうまくなりたい・・・)
・・・・・・・。
(まずいです・・・・眠くなってきた)
そーいえば、里に向かってから寝てない。
(堪えろ!!!!!!耐え忍ぶからこそ、忍!!!)
使い方を間違えている。
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