【第二章序の卷:武田家の依頼】


伊達政宗は、巨大な龍の石像がある場所で、一刀の刀を握り、静かに立っていた。
そこへ、一週間ぶりに任務から帰ってきたが、姿を現した。

「伊達様。、無事に帰って参りました。御久し振りにございます」
政宗「おうっ。今回は随分と長かったじぇねーか、

「はい、少し遠出の任でしたので・・・」
は、辺りを見回した。

広場には伊達政宗と自分以外に、誰も居なかった。

政宗「何だ?誰か探してんのか?」
「いえ、いつもは試合稽古をしていらっしゃるので、お邪魔になったのではないかと思いましたが、本日は・・伊達様、お一人だったのですね」

政宗「まぁ〜な。小十郎も、他の奴らも捕まらねーから、久々に精神統一してたってわけよ」
「それは・・・申し訳ございませんでした。そうとも気づかず、伊達様のお邪魔をしてしまい」

政宗「Don’t worry、。こーして、おめぇといることのほうが、俺にとっちゃー大事だ」
の頬は一気に赤くなり、政宗はそれを面白そうに笑って見ていた。

一家臣として、お言葉を頂けるのは大変嬉しいことであるが、あまりにさらりと言うものなので、どうもこっ恥ずかしくなってしまう。
(平常心、平常心。あっ、そうだ)

「あっあの、伊達様。私でよろしければ、御手合わせ」
??「政宗殿ぉぉぉぉおおおおおおおおおっっっっ!!!」

「の、見学をしていてもよろしいでしょうか」
政宗「そうだな。おめぇは、休んで見てな」

政宗は、の頭をぐしゃぐしゃと撫で、名残惜しそうに指に絡めた髪を離し、声のしたほうを見た。
巨大な砂煙がどんどん二人に近付いてくる。

??「伊達っ政宗殿ぉぉぉぉぉぉっっ!!」
政宗は一刀握っていた刀を鞘に納め、六爪を引き抜き、真田幸村に向かって走り出した。

政宗「行くぜ、真田幸村ぁぁぁぁぁっっ!!」


スカッ


政宗「What's?!」
真田幸村は突進したまま、政宗を素通りし

ガッ

(!?)
を片手で持ち上げ、肩に乗せた。


ドスゥッ


、幸村の肩が鳩尾にイイ感じに入り、気絶。

そして再び走り出した。
幸村「殿を借りるでござるぅぅぅーーーーーーっっっ!!」

政宗「Wait!!真田幸村っ!!」

幸村に、政宗の声は届かなかった。
砂煙は遠くなっていく。










【甲斐】

目の前には、獅子のような熊のような人物が、実にバランスよく座っていた。
一般の者より二周りも三周りも巨漢のせいか、真田幸村が虎の赤子のように感じる。

見た目だけではなく、その雰囲気には歳相応の重々しい威圧感があった。
(首が痛いです)

高い位置にいるせいもある。
武田信玄は、幾重にも重なった光沢のある座布団の上に座っていた。

不恰好に揺れるわけでもなく、バランスをとっていることも感じさせなかった。
微動だにせず。

(あんなに沢山積んで座れば、平衡感覚を保つのにも大変です)
今度、修行にやってみようと思うだった。

幸村「お館様っ!!殿を連れてまいりました!!」
信玄「うむ。幸村、よくやった」

幸村は滝のように涙を流した。
幸村「おっお館様あぁぁぁっ!!」

武田信玄は、幸村に向かって一度ゆっくりと頷き、を見る。
は信玄と目が合った一瞬、伊達政宗を連想させた。

(・・・見た目じゃなくて・・・そうです。雰囲気が・・・)
信玄「経緯は、幸村から聞いたとおりじゃ。引き受けてはくれんか、奥州の忍・・・とやら」

「佐助を、私が・・・」

が幸村に攫われた理由は、佐助であった。
ある任を武田信玄が佐助に頼んでから、半月経っても帰ってこないというのだ。

任の内容は、二日三日で終わるもの。
何かあった場合、佐助は文を出し、連絡を怠ることはなかったが、今回はその文もないという。

「・・・私でなくとも」
と幸村の目が合い、幸村は下を向く。

信玄「無論。幸村にも随分と前から探させておる。だが、何の手掛かりも得られておらん状況じゃ。そこで同郷である御主なら、佐助を見つける企てを知っていると思うて、幸村に御主を連れてくるよう頼んだのじゃ」
は武田信玄から目線を外し、思い詰めた表情になった。

元、自分の追い忍でもあり、今は敵方にいる忍。
断ってしまえば、佐助は、このまま見つからず死を迎えるかもしれない。

そうなれば、甲斐の戦力は落ちる。
断ってしまえばいい。

ただ一言。
「私にはできません」

そう言えばいいと頭では分かっているものの、は、なんだかすっきりせず、引っかかるような苛立ちを感じた。
(断ったら、後悔しそうです)

反省はいい、後悔はするな。
は、そう以前、伊達政宗に言われたことがあった。

(殺めるなら、正々堂々と・・・ですね。伊達様)
正々堂々・・・忍には縁も遠い話であるが、悪くないと思う。

信玄「敵であるお主にとって、苦渋の選択。だが佐助は儂にとっても、この幸村にとっても、大切やつなのじゃ」
幸村「殿。何でもよいでござる。知っていることがござったら、某に教えてほしいでござる」

「確かに、同郷のもの・・いえ、忍にしか分からない印や知らせる方は、状況によって、いくつかございます」
幸村「ではっ!!殿、さっそく!!」

バキッ

三人(!?)
木々が破壊されるような音がした。

信玄「むっ?」
幸村「何事だっ!!」

幸村は立ち上がり二槍を構え、障子を突き破り廊下を出た。


バキッ

ドゴォオッ

バリッ












ドカアァァァッ!!


??「真田幸村あぁぁあぁぁぁっ!!!」
真田幸村の目の前にある部屋の障子が破壊され、伊達政宗が乗馬したまま現れた。

幸村「政宗殿!?」
「伊達様!?」

乗馬したままである。

通った後から、外の景色が良く見える。
(修繕費は、こっちが出すのかな・・・・)

伊達政宗は、紫の注連縄をした白毛の馬から降りると、を小脇に抱えて帰ろうとした。

幸村「政宗殿っ、待ってくだされっ!!殿には佐助を」
政宗「Shut up!!俺は、OK出した覚えはねぇーぞ、真田幸村!!」

信玄「ぬっ、真かっ!!幸村」
幸村は武田信玄を振り返り。

幸村「某は政宗殿に」
信玄「幸村あぁぁぁぁぁぁぁっ!!!!!!」


ドゴオォォッ


信玄の拳が幸村の顔に、クリーンヒット。
(ひっ!!)

幸村は壁まで吹き飛ばされ、起き上がり、信玄めがけ走り出した。
幸村「申し訳ございませんっ!!お館さむあぁぁぁああぁぁ」

ドカァ!!

信玄の顔を殴る。
(嘘―っ)

信玄「幸村あぁぁぁぁぁっ!」
幸村「お館さむあぁぁぁっ!」

信玄「幸村あぁぁぁぁぁっ!」


(すごいなぁ・・・)
でも、これで修繕費の心配はなくなった。

部屋は原型を留めておらず、武田信玄が座っていた座布団も縦横無尽に広がっている。
幸村「お館さむあああぁぁっ!!」

政宗「帰るか」
信玄「幸村あぁぁぁっ!!」

「えっ!!まっ待ってください、伊達様っ!!」
幸村「お館様あああぁぁっ!!」

政宗(?)
信玄「幸村あぁぁぁっ!!」

「私に、佐助を探させてください」
幸村「お館さむあああぁぁっ!!」

政宗「そんなことで、おめぇを攫ったてーのか!?」
信玄「儂が幸村に頼んだのじゃ」

殴り合い終了。

幸村「真でござるか!?殿!!」
政宗「Crazy・・・フザケんなっ!!俺は許さねぇ。このままおめぇを連れて奥州に帰る」

政宗は、を抱えたまま馬に脚をかけた。
幸村「政宗殿・・・」

「借りを」
政宗(?)

幸村(?)
信玄「・・・・・」

「武田様と真田様、そして佐助に借りを作るのです。いずれくる、戦いのために」








【とある森】
暗い夜。
人恋しげに梟が鳴く。

佐助は、巨木の根が作り出した洞穴のような場所で倒れていた。
息絶え絶え。

佐助(俺様、こーんなつまんない死に方しちゃうのかなぁ)

衣服は、茨の中でも歩いてきたかのように、処々切れていた。
むき出しの右肩には、夥(おびただ)しい無数の切り傷と擦り傷。

足には添え木を当て、折れているかもしれない。
持っていた兵糧丸も保存食も尽き、ここ数日、佐助は何も口にしていなかった。

佐助「はぁ・・・」

肉体的にも精神的にも、ボロボロの状態だった。
佐助(まさか、この俺様がドジ踏むなんてねぇ。じゃあるまいし・・・)



佐助が、このような状況になったのは、自業自得であろう。
早々、武田信玄の任を追え、木々を飛び移りながら移動していると。

(佐助「あれって・・・・かすが?」)
遠くのほうでかすがを見かけ、面白そうだから後をつけようとして、次の木に飛び移ったが。

(佐助「えっ!?」)
そこにあったのは木ではなく、谷。

(佐助「うっそぉっ!?」)
佐助はそのまま落下。

ドボーーーーンッ!!

谷の間には激流が走っており、泳いで乗り切ろうとしたが・・・。
途中、流木が体にぶつかり気絶。

次に目が覚めたときは、どこかの川岸で倒れていた。
目の前には、うっそうとした森が広がる。

人気がなく、近くに農村がないことが分かる。
佐助(やれやれっと・・ん?)

片足は、大きく晴れ上がり蒼紫色になっていた。
佐助(あっちゃ〜、罅(ひび)みたいだけど・・・無理に負担かけちゃうと、まっずいよねぇ・・・)

足だけではない。
全身打撲状態の佐助は、筋力が萎縮しており、動くこともままならなかった。

それでも岸辺から、偶然見つけたこの根っこの洞穴まで、辿り着いた。
来る途中、木には印を残してきたが、低い位置につけざるおえなかったため、誰かが気づく可能性は低い。

大烏も召喚したが、主である佐助から一定の距離を離れると消えてしまうので、佐助のいる上空を旋回して飛んでいる。

佐助(誰か、気付いてくんないかなぁ〜。・・・・かすがとか、かすがとか、かすがとか)
聞こえるのは寂しく鈴虫が鳴く声、誰かが近づいてくる気配はない。

佐助(・・・・は、ありえないよねぇ)
佐助は一時、の追い忍だった。

そのときのことを思い返すと、自分でもちょ〜っと言い過ぎたかなぁと思うほど、酷いことや、を混乱させるようなことを言った。

佐助「かすがぁ〜」
佐助の声は、空しく木々に響くだけであった。

佐助(俺様、泣きそ)
佐助「かすがに・・・会いたいなぁ」

??「・・・なら、今から呼んできたほうがいいでしょうか?」

佐助「はいっ?」
佐助は閉じていた瞳を開けると、真夜中にいつも見える深緑ではなく・・・薄っすらとした月明かりにある藍色。

佐助「・・・?」
「はい、そうです。・・・かすがじゃなくて、すみません」

は、小さな焚き火をつくり、背負っていた荷物を置き、倒れていた佐助の額に手を当てた。
「熱は、ありませんね」

佐助の足に目をやり、添え木を当てた場所に触れる。
佐助「痛っ」

「感覚があるなら大丈夫です。このまま固定しておけば、下手な癖もつかず完治するはずです」
佐助「さっ・・すが・・・・俺様」

「・・そうですね」
(衰退が激しい・・・)

肩口の傷に目をやり、苦悶の表情になった。
化膿してかけてる。

は、腰にぶら下げた竹筒の栓を抜き、傷口を洗い流すと、塗り薬を塗って包帯を巻いていった。
包帯を巻きながら、自分が真田幸村と武田信玄に頼まれて・・・と、佐助に話すが、佐助はそれを聞いているのか、いていないのか、ぼーっとを見ていた。

「もう数日たっていたら、化膿で熱がでていたかもしれません。もしかしたら、これから熱が・・・佐助?」

佐助は、の手に触れた。
「あっもしかして、きつかったですか?少し緩めましょうか?」

佐助「んっ?夢じゃないよなぁって思って。・・ちょっと、安心してきちゃった」
「・・夢だったら、ここにいるのは私じゃなくて、かすがです」

は、申し訳なさそうに言った。
佐助「ん〜かすがだったら、俺様・・・安心っていうより、元気になるかな?」

は、くすっと声に出して笑った。
「なら、今は私で我慢してください。他に、違和感や傷を負ったところはないですか?」

佐助「背中辺りにちょっと引っかかるような。流された時に強く打ったせいかな?」
(流された?)

一体、佐助の身に何が起きて、こうなってしまったのだろう?
は思ったが、今はそんなことより、手当てが先だと思い佐助の肩に手をかけた。

は佐助の上半身を起こし、支えるように腕を回して、背中を見た。
(・・・・・)

佐助「どう?まさか・・・蛆なんてわいてないでしょーね」
「わいてません。ただ、太い木々が数本、背に刺さったままです」

佐助「えぇっ!!それってもしかして・・・」
「斜めに刺さったままの状態で、傷が回復してます」

このまま放っておけば、次の段階・・・つまり刺さった部分から、肉が腐っていく。
単純に、引き抜くわけにはいかない。

刺さっている枝の部分から、傷口を開いて確実に引き抜いていかないと、途中で折れてしまっては元も子もない
佐助「俺様、運悪過ぎじゃな〜い?」

「・・・そうですね」
される方が痛いに決まっているが、する方も堪ったものではない。





パチパチと火の粉が舞う。
「痛いですから・・私の肩、噛んどいたほうがいいです」

は佐助の衣服を脱がし、佐助の足を跨ぎ地面に膝をつけて立つ。
上半身を起こして前倒れになる佐助を抱きしめるように腕で支え、片手には、消毒済みの短刀を持っていた。

の右耳元には佐助の横顔があり、互いの息づかいが聞え、藍色と赤茶の髪が絡み合う。
から香る優しく甘い匂いが、佐助の鼻孔をくすぐった。

佐助「なんかさぁ〜この体勢ってちょっとエロくない?」
「・・・殴って良いですか」

佐助「俺様、二度と目覚めないかもしれない」
「なら、変なこと言うのはやめてください」

は、一番大きく太い枝が背に刺さっている部分に短刀を当てる。
「肩・・噛んでてください」

佐助「俺様だったら大丈夫だから、さっさとやっちゃってよ」
だが、佐助は冷や汗を全身から流し、腹部には力が入り、視野が狭くなっていた。

「・・・・」
佐助(!)

ぐじりと、の短刀が佐助の背に入り、もう片手で枝を引き抜いていく。
引き抜く途中で、枝が折れないように、ゆっくりとだ。

ガッ

(!)
佐助は痛みを耐えようと、辺りのものを儂掴んだ。

片手は地面、もう片手は・・・の二の腕を掴んでいた。
(やり・・にくいし、いっ痛い・・・・)

だが、離せとも言えない、佐助のほうがもっと痛いからだ。
佐助「くっ・・・・・ん”っ・・・・・・・・ぁっ・・・・・・」

全身から汗が噴出している。
短刀で傷口を開き、ぐちっと肉と血の音がする。

佐助「・ん”ん”っ・・・・・」
「息、してください」

佐助「そっ・・・・・う”っ・・・・・」
佐助の背からは血が流れ、の左手も佐助の血がべったりとついている。

「出来ないなら、肩、噛んでください!!」
は怒鳴ったが、佐助は否定するように首を一度だけ横に振る。

ギジッと、佐助が歯を噛締めた音がした。
これでは歯のほうがいってしまう、息もままならない。

「佐助!!!」
佐助「・・・・」

「もっと痛くしましょうか」
ギリイィッ

「っ!!」
の肩に、佐助の歯が容赦なく食い込んだ。

佐助「あん・・ったねぇ」
佐助は恨みがましくを横目で見るが、荒々しくも息をしている。

の肩に、痛みと佐助の息遣いを感じる。
「・・喰い千切れたら、別の場所、噛んどいてください」

も佐助も、額や頬に髪がはりついている。
(熱い・・・・)











カランと、最後の枝が地面に落ちた。
赤黒い血が、枝に染み込んでいる。

佐助の背から血は流れているが、枝はなくなった。

「終わった・・・・・。あっ・・まだ、終わってない」
ぼーっとする頭をは軽く小突いて、佐助から離れ、荷物から色々と道具を出す。

背の傷から血を吸出し、水で洗い、傷薬を塗り包帯を巻いていく。
脱がした衣服は汚れているので、荷物から毛布のようなものを出し、佐助に被せた。

佐助は、その間、ぐったりとして全く動かなかった。
上半身起きたままの佐助を、は覗き込むように見た。

「佐助。大丈夫ですか?」
佐助「生きてるよぉ。ギリギリだけどね」

は息をつき、佐助から離れようとしたが、佐助の手はを掴んだまま離さなかった。
「あの、離してくれませんか?私にはまだやることが」

佐助「このまま、ちょーと寝かしてくんない。さすがの俺様も・・・もう限界・・・」
「分かりました。でも、まずは手をって!!」

佐助は、軽々とを持ち上げて、自分の前に無理矢理置くと、後ろから覆いかぶさるように抱きしめた。

佐助「うん・・・・、ありがと。・・・・・俺様、これで・・・寝れそ」
「お礼なら、武田様と真田様に言ってください。私は、頼まれただけですし。ってそれに、私にはまだやることがあるんです。貴方の汚れた服を洗って乾かして、川で水を補給して、森で食料を探して、あぁっそうだ、薬も大分使ってしまったんでした・・薬草も探さなくては・・・。分かりましたか?私には、まだ色々とやることが・・・佐助?佐助!?」

佐助「・・・・・・・」
寝た、というより気を失ったに近い。

緊張の糸が切れたのだろう。
は、起こさないように、そっと佐助の腕をどかそうとしたが、一寸たりとも動かなかった。

なんとか、足の間から逃げようとしたが、佐助の足は、根っこでも張られたように、微動だにしなかった。
(本当に、寝てるんですか!?)

は、自分の肩にぐったりと頭をのせている、佐助を見た。
佐助は目を閉じ、寝てはいるようだ。

(・・・少し痩せましたって、当たり前ですよね)
すでに夜は明けようとしていた。

(伊達様、まだ怒っていらっしゃるかな・・・・)








【政宗は・・・】
政宗「YaーHaー!!こんなもんじゃねーだろっ!!真田幸村ぁぁぁぁっ!!」
幸村「当たり前でござるっ!!見ていてくだされ、親方さむぁぁぁぁぁぁっ!!」

闘っていた。
??「なるほど、そのような理由で、政宗様がこちらに・・・」

が佐助の救出に向かった後、政宗は甲斐で待つことにした。
政宗が甲斐に行ったと聞きつけた片倉小十郎も甲斐に行き、武田信玄よりことの事情を聞いていた。

信玄「怒っておるか?むざむざ敵を救うよう、あの忍にさせたこと・・・」
小十「私は・・・政宗様に従うだけでございます」

だが、小十郎の眉間の皺はいつもより深く、口も山形になっていた。
小十(、一体何を考える。政宗様を振り回すような真似を)

信玄「奥州には、なかなか賢い忍がいるようじゃ。・・・佐助といい勝負じゃ」
小十「がですかっ!?」

失礼だぞ。

信玄「恩を売りおった・・・この儂に。儂だけではない、幸村にも、佐助にもじゃ」
小十「借りなど。そのようなもの・・政宗様には不要でござります。政宗様は、政宗様のお力で・・・」

政宗「幸村あぁぁぁぁぁぁぁぁ」
幸村「政宗殿ぉぉぉぉおおおお」

佐助を見つけ出すことができたら、借りを一つ。
それが、の出した条件だった。

信玄「領地、金銭と目に見えるものではない、見えぬものをあの忍は求んだ。借りは一つじゃが、これから先、ついて回るものじゃ。売られたままでは・・儂も気分が悪い」

小十「・・・立ちが悪いものとも、聞こえますが」
信玄は、ふっと笑みを漏らした。

信玄「佐助といい勝負じゃろ?」







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